漆とは、東アジアのみに生育する「漆の木」から採取される樹液です。固まると非常に堅牢で艶やかな質感を持つ塗料になるため、日本では数千年前から木や竹、紙や布などに塗布し、食器などの器物、建築、仏像などの製作に用いられてきました。
漆器は日本を代表する伝統工芸品です。その深みのある色合い、雅やかで奥ゆかしい表情、なめらかな触感など、他に類を見ない美しさがあります。また、陶磁器とは違った機能面においても長きに渡り日本の生活に欠かせない器でしたが、安価で手軽なプラスチックなどの石油製品が台頭すると日常生活からは徐々に姿を消してゆきました。同時に、生活様式も急速に変化して、伝統的な漆の器は時代から取り残されてしまいました。
Suirenは、和洋様々な料理が並ぶ現代の食卓にあわせて、いかようにもコーディネートができるニュートラルさ、また畏まらずに使用できる日常感を持った漆の器を目指して製作しました。上塗りの透き漆の層から透けて見える深遠な色合いが美しい溜塗りと、欅の木目が美しい拭き漆仕上げの2種類があります。生活に漆器を取り戻し、世界の人々の元でもこの魅力的な生活工芸品が取り入れられてゆくことを願っています。
* 天然木のため杢目はそれぞれ異なります。お手元に届く一点をお楽しみください。