宙吹きガラスはその全ての工程において型を使わず、ジャックという大きいピンセットのような道具や紙リンと呼ばれる新聞紙を折り畳んで水を浸したものなど、いくつかのシンプルな道具を駆使して形を整えてゆきます。窯から取り出したガラスはすぐに固くなってしまうため、途中何度も窯の中で炙り直して柔らかく戻しながら成形を続けます。ひとつのグラスを作り終えるのに、かれこれ20分ほどはかかるでしょうか。型を使って成形する型吹きガラスと違って、ほとんどフリーハンドで作られる宙吹きのガラスは作り手の技量や感性によって出来あがるものの佇まいが全く異なります。また、表面がゆらいでいたり、フォルムやサイズに多少の違いが生じていたり、この個体差こそが、宙吹きのグラスが発する確固とした存在感の源になっています。
グラインダーで削りを入れると、丸みのある形をしたグラスにも、硬質な表情が与えられ、同時にベールを纏ったかのような優しい色合いが生まれます。
SNOW, SEA & DEEP FOREST COLLECTION