器全体を覆う、深く神秘的な織部釉の緑。桃山時代の人々は、釉薬が流れて生じる 濃淡の変化に美しさを見出し、山の深さや海の深さを思い描いて「景色」と呼んで愉しみました。 鉢は同じサイズを重箱のように積み重ねたり、入れ子にして収納することもできます。
岐阜県の土岐市では今も多くの窯元が様々な種類の器を製作しています。この窯元は機械轆轤による水ゴテという方法を使って、主に鉢類や茶碗などを作陶しています。多様な釉薬や形状の品物を手掛けてきましたが、現在では織部秞の器が主力となっています。日本人は、釉薬が流れて生じる濃淡の変化に自然の表情や風光を感じ取り、これを「景色」と呼んで愉しんできました。温もりのある柔らかな土の味わいや情趣に富んだ釉の色彩といった多彩な造形が、和陶器の魅力です。