器をのせて運ぶ盆として、器をしつらえる折敷として、料理を盛りつける皿として、様々に活用できる汎用性に優れた浅盆です。品格のある塗り立て仕上げと、拭き漆仕上げの2種類があります。
日本は、木と共生し、あらゆるものを木で作り出してきた木の文化の国です。木に漆をかけて耐久性を高め美観を与える漆工芸は日本全国で発展し、現在も各地の職人達が本質的な作りを守りながら製作を続けています。漆器の製作は分業制です。まず木地師が轆轤を使って器形の木地を削り出します。次に下地職人が形状に合わせて漆の塗りと研ぎを繰り返し、時には布や紙を貼り付け堅牢な下地を作り上げます。その後、塗師が塵や埃が入らないように細心の注意を払いながら艶やかな仕上げの漆を塗り重ね、最後に装飾を施す場合には、蒔絵師が金銀粉や螺鈿などを使って美しい文様を描いて完成です。150以上もの緻密な工程を重ねて、美しく丈夫な漆器ができあがります。
漆器の質は、仕上がってしまうと表面からは見えない、下地の仕事の精度によって大きく左右されます。誠実な仕事が施された漆器は、長年使用して傷みが発生した場合でも、直しを重ねながら使い続けることができます。