椅子の構造や強度、寸法は、生物の身体がそうであるように必然性と完結性を持っています。また長い歴史の中で、建築家やプロダクトデザイナーの創造意欲の表現手段として、多くの椅子が生み出されてきました。この椅子は、アスリートの鍛え抜かれた美しい身体に同居する強さや鋭さと相対する、繊細さを内包させました。前脚から座枠側面、そして後脚と背柱に至るすべての構成要素を丁寧に繋ぎ、表から裏までが一つの曲面となる一体感を意識しました。無垢の木による曲面の滑らかさと、面と面の境界線が作り出す緊張感が共存する製品は、高度で繊細な製造技術によって実現しています。